Vol.5 竿のポテンシャルを生かすファイトのやり方とは (製品設計 小西が解説) |
■竿のポテンシャルを生かすファイトのやり方とは■
  
  
『カーペンターのロッドを限界近くまでドラグを掛けたいのですが、実際どのくらいのドラグまで
大丈夫なのですか?』 とのご質問を幾つかいただきました。
カーペンターのテスターの方やファイトに慣れたアングラーの方はカーペンターのロッドカタログにあります MAXドラグの
数値は参考程度と考えられております。実際にはもっと大きなドラグを掛けておられます。
そもそもカーペンターのロッドカタログにあります ”MAXドラグの数値” は破壊限界値まで余裕がある数値を表示しております。
理由ですが、物というものはそのものの性能の限界で使用すれば、へたりが早く来てしまいます。
例えば、公道でエンジン回転を適正にして走っていれば10万キロ以上の耐久性を持つエンジンが
サーキットでエンジンの限界まで使って走行すると、同じエンジンなのにすぐにエンジンに寿命が来てしまいます。
ロッドもまったくこれと同じことがいえるのです。
以前にもお話をしておりますが、ロッドは折れなくても、へたりや剥離といったかたちで寿命があります。
エンジンでいうなら、動いているけれど馬力が出なくなって本来の性能が失われた状態と例えられるでしょう。
カーペンターのロッドカタログのMAXドラグは、そのあたりを考えて常用のMAXよりも7割位に抑えた表示になっております。
もう一つの理由が、たまにロッドの使い方に慣れておられない方を釣り場で見ていて思うのですが
『普通のロッドだったら折れているなぁ』 と思うファイトをされていることがよくあります。
何度も説明させていただいておりますが、竿のポテンシャルを生かすファイトのやり方とは
ファイトに於いて変動する負荷に対してロッドの適正なセクションでパワーを受け止めることです。
”ロッドを立てると良い” という話や ”ロッドを立てるのは良くない” という話はどちらもが正解であり、どちらもが
間違いなのです。正確に答えるなら 『その使用しているロッドのアクションとパワーの特徴を捉えた上で、
ファイト中に変化する魚の負荷を如何に俊敏にロッドの適切なセクションに乗せながら魚を持ち上げる操作が出来るか』 が
答えなのです。
ロッドパワーをバットに乗せないと破損の危険性がある時は竿を立てていけません。
その状況でロッドを立てることは、パワーの無いベリーやティップで力を受けるのでリフトパワーが
まったく出ないだけでなく、破損の危険性を伴います。
この状況はロッドパワーに対して負荷がかなり大きい時に遭遇しやすいです。
逆に魚が浮き出して負荷が少なくなってきているのも関わらずロッドを寝かし続けているのは
ロッドのリフトパワーが生かしきれないので魚が浮いてきません。
『車やバイクでいうところの、エンジン回転とギアをその状況で一番最適な状態になるように
コントロールすること』 と ファイトにおけるロッド操作はとても似ています。
これが分かれば、カーペンターのロッドは面白さ100倍増になると思います。
機能するロッドとそうでないロッドの性能の差が見える瞬間です。
カーペンターのロッドを気に入ってくださるアングラーの方は、ただ単に折れにくいという理由だけでなく
カーペンターの機能するロッドとロッドフィーリングを気に入ってくださっていると感じています。
カーペンターのカタログスペックは誰もが使って問題がない無難な表記です。
ラインもそうですが、慣れておられるアングラーの方はもうワンランク上のラインも可能ですし
実際ご使用になられておられます。
私の場合は、魚の弱り具合に応じて、真綿で首を絞めるが如くじわり、じわりとドラグをしめこんでいって
最後には魚が身動きを取れない状態に追い込んだファイトのやり方をします。
最後にはドラグをかなりしめこんで、ガチガチなドラグになっています。
ファイト時間は少しのびますが、力がないアングラーの方にお勧めのファイトです。
ご質問にありました 『実際にどれくらいのドラグ値まで大丈夫か』 に関しては
カタログ表記の3割増しは実際に使っておりますがまったく大丈夫です。
まったくと申しましたが、これは 『ファイトに於いて変動する負荷に対してロッドの適正なセクションで
パワー受け止める』 が出来る方にはOKです。
3割増しといいましたが、ロッドテストではワンランク、ツーランク上のラインを使ってもっともっと
負荷を掛けてファイトしているので、もっとドラグを掛けることは可能です。
ロッドの極限のポテンシャルを引き出す方法があります。『ファイトに於いて変動する負荷に対してロッドの適正なセクションで
パワーを受け止める』 は勿論のこと 『リフトパワーの変動を極限的に起こさない極めてスムーズなリフトを行う』 ことです。
この能力がある方はロッドのポテンシャルを極限まで使える人だと思います。
このことでも分かりますように、実際に釣りで使えるMAXドラグ値はアングラーの技量に左右されますので簡単に数値に
することが難しいです。
ロッドパワーと魚の大きさの関係によっては、ドラグをロックしても竿は折れないケースがあります。
(ロッドパワーに対して魚の負荷が軽いケース)
難しい話をしましたが、もし、ロッドに慣れておられない場合は、最初はカーペンターの
カタログスペックを基準にしてください。
次のステップとして徐々にドラグ値を上げて慣れていってください。
機能するロッドを噛み締めながらのファイトは、魚の大小に関係なくすごく楽しいです。
魚を掛けて慣れてくると、分かりだしてくると思います。
車も公道のみで走ることを想定して出したメーカーの数値は安全な数値です。
寿命は縮んでもサーキットでポテンシャルを引き出した走りに徹することもありだと思います。
カーペンターのロッドは、それに応えてくれる高いポテンシャルを有していると確信しております。
写真はほんの一例ですが、実釣ではMAXドラグは臨機応変に対応しています。
カーペンターのロッドは、慣れてくるとロッドの曲がりでおおよそロッドの
何パーセント位使ってファイトしているか分かってきます。
※MAXドラグ値とはファイトに於いて一番強く掛かっていた数値です。
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テスター田原氏
マグロ82kg
OMA92
MAXドラグ 18kg位 |
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テスター野瀬氏
マグロ74kg
OMA92
MAXドラグ 20kg弱 |
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小西健滋
GT55kg
CV79/40RF−SHP
MAXドラグ 20kg位 |
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小西健滋
ブラックビースト テスト
MAXドラグ 20kg超 |
カーペンター製品設計 小西健滋
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